介護事業所の集客を口コミ以外で増やす方法| 稼働率を上げる3つの数字管理【オージージー】

デイサービスで体操を楽しむ高齢者と介護スタッフ|通所介護の活動風景

「利用者さんは少しずつ増えている。でも、稼働率が80%を超えない。ケアマネさんからの紹介も頭打ちで、どうすればいいかわからない。」

これ、あなただけではありません。介護事業所の経営者から、最も多く寄せられる相談のひとつです。

介護業界の集客は、いまだに「口コミ」と「ケアマネからの紹介」に頼っている事業所がほとんどです。もちろん、口コミは強力な集客手段です。しかし、口コミだけに依存している限り、集客は「待ち」の状態から抜け出せません。「紹介だけに頼る経営の落とし穴はこちらも参照ください」

経営の本質はシンプルです。売上を上げて、経費を下げる。介護事業でも、この原則は変わりません。そして売上を上げるには、まず「稼働率」という数字を徹底的に管理する必要があります。

※本記事は2024年度介護報酬改定・処遇改善加算一本化後の制度環境を前提として記述しています。


なぜ介護事業所は「口コミ頼み」から脱却すべきなのか?

デイサービスで体操を楽しむ高齢者と介護スタッフ|通所介護の活動風景

介護事業所の売上は、基本的に「利用者数×単価×利用回数」で決まります。つまり、利用者数が増えなければ売上は頭打ちになります。

口コミやケアマネからの紹介は、コントロールできません。紹介してくれるかどうかは相手次第であり、いつ・何人来るかを予測することが難しい。これは経営ではなく「運任せ」です。

数字に基づいた意思決定をする経営者は、感覚ではなく確率で判断します。口コミは確率が読めない。だからこそ、口コミ以外の集客チャネルを持つことが重要なのです。

ある通所介護(デイサービス)の事例を紹介します。地方都市・定員30名の事業所(弊社が過去に分析したモデルケース)で、稼働率が68%で停滞していました。利用者は1日平均20.4名。月の売上は約280万円。しかし、人件費・家賃・送迎費などの固定費は月240万円。手残りはわずか40万円でした。


Q: 介護事業所の稼働率を上げるには何から始めるべきか?

A: まず、自事業所の「3つの数字」を把握することです。

① 稼働率(曜日別・時間帯別)

全体の稼働率だけでなく、曜日別の稼働率を把握してください。多くの事業所で「月曜と金曜は満員に近いが、水曜と土曜はガラガラ」という偏りが発生しています。

曜日 定員 利用者数 稼働率
月曜 30名 28名 93%
火曜 30名 24名 80%
水曜 30名 15名 50%
木曜 30名 26名 87%
金曜 30名 27名 90%
土曜 30名 12名 40%

この事業所の全体稼働率は73%ですが、水曜と土曜だけが足を引っ張っています。つまり、全体を底上げするのではなく、「稼働率の低い曜日に利用者を誘導する」だけで売上は大きく変わります。

② 新規問い合わせの流入経路

「新しい利用者はどこから来ているか」を記録していない事業所が非常に多い。ケアマネ紹介が何件、ホームページ経由が何件、チラシが何件——これを毎月集計していなければ、どこに集客コストをかけるべきか判断できません。推測ではなく、現場の一次情報を積み上げることがすべての出発点です。

弊社が支援するある事業所(定員25名)で流入経路を3ヶ月間記録したところ、以下の結果が出ました。

流入経路 問い合わせ数 成約数 成約率
ケアマネ紹介 8件 6件 75%
ホームページ 12件 4件 33%
Googleマップ 5件 3件 60%
チラシ・ポスティング 3件 1件 33%

ケアマネ紹介の成約率は高いですが、件数に限りがあります。一方、ホームページからの問い合わせが最も多い。つまり、ホームページの成約率を上げることが、最も売上インパクトの大きい施策です。

③ 利用者の離脱率(退所率)

新規利用者を増やすことばかりに目が行きがちですが、既存の利用者が辞めていく率——離脱率を把握していますか?

月に2名が退所し、月に2名が入所しているなら、利用者数は永遠に増えません。「穴の空いたバケツに水を注いでいる」状態です。

弊社が支援した事業所の傾向として、退所理由を分類すると、「介護度の変化」「入院」「家族の事情」など不可抗力によるものと、「サービスへの不満」「通所意欲の低下」など事業所側で対策できるものが、おおよそ同程度ずつ混在しているケースが多く見られます。後者を減らすだけで、年間の利用者数は確実に増えます。なお、自事業所の退所理由を分類したことがない場合は、まずその記録整備から着手してください。


Q: 口コミ以外の集客で本当に効果があるのはどれか?

A: 特に人口20万人以上の都市部においては、「Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)」のコストパフォーマンスが高い集客手段として挙げられます。

理由はシンプルです。介護サービスを探す家族の多くは、まずGoogleで「地域名+デイサービス」と検索します。そのとき、Googleマップに表示される事業所の中から選ぶケースが増えています。

※地方部・人口集中地区以外のエリアでは、依然としてケアマネへの信頼関係構築が集客の主軸になるケースが多い傾向があります。地域の実情に合わせて優先度を判断してください。

Googleビジネスプロフィールを整備するポイントは3つです。

① 基本情報を完全に埋める

営業時間、サービス内容、写真、送迎エリアなど、すべての項目を正確に記入してください。情報が不完全な事業所は検索で埋もれやすくなります。

② 写真を定期的に追加する

施設の内観・外観、イベントの様子、食事の写真など、月に2〜3枚でも継続的に追加することで、情報の鮮度が保たれ、検索に表示される機会が増える傾向があります。利用者の家族は「どんな雰囲気の場所か」を写真で判断します。

③ 口コミへの返信を必ずする

口コミが付いたら、良い口コミにも悪い口コミにも丁寧に返信してください。返信がある事業所は信頼度が高く見え、問い合わせのハードルを下げる効果があります。

弊社が支援するある事業所(定員20名)では、Googleビジネスプロフィールを3ヶ月間継続運用した結果、月の問い合わせ数が3件から8件に増加しました。広告費はゼロです。


「本当の手残り」を計算していますか?

介護事業は「利用者が増えれば儲かる」と思われがちですが、実態は違います。利用者が増えると人員配置基準を満たすためにスタッフを増やす必要があり、固定費も上がります。

多くの経営者が見ている計算:

介護報酬 - 運営経費 = 利益

本当に見るべき計算:

介護報酬 - 人件費 - 家賃・送迎費
     - 社会保険料(会社負担:給与の約15%)
     - 処遇改善加算の原資
     - 税金積立(利益の約30%)
     - 借入返済額
= 本当の手残り

介護事業は人件費率が高い業種です。売上の60〜70%が人件費という事業所も珍しくありません。だからこそ、「稼働率を上げて1人あたりの生産性を高める」ことが、手残りを増やす最も効果的な方法です。

ただし、稼働率を引き上げる際には人員配置基準に注意が必要です。利用者数が増えた場合、サービス提供時間帯に必要な介護職員数が変わるケースがあります。既存スタッフのシフト調整の範囲内で吸収できるかどうかを、先に確認してください。

その前提が満たされている場合、稼働率68%の事業所が80%に改善するだけで、固定費をほぼ増やさずに月の売上が約50万円増えます。年間600万円の利益改善です。


売上インパクトで優先順位をつける

集客施策を闇雲に始めても、効果が出る前に疲弊します。大事なのは「売上に直接インパクトがあるかどうか」で優先順位をつけることです。

施策 コスト 売上インパクト 優先度
Googleビジネスプロフィール整備(都市部) 無料 ★★★
ケアマネへの定期的な関係構築(訪問・情報提供) 担当者の時間投資(関係構築に3〜6ヶ月を要する場合あり) ★★★
稼働率の低い曜日への利用者誘導 無料 中〜高 ★★★
ホームページのリニューアル 中〜高 ★★☆
チラシ・ポスティング 低〜中 ★☆☆
SNS運用(Instagram等) 低(時間コスト大) ★☆☆

上から順にやってください。コストが低く売上インパクトの大きい施策から手をつけるのが鉄則です。特にGoogleビジネスプロフィールの整備と稼働率の曜日別管理は、今日から始められてコストもかかりません。

なお、ケアマネとの関係は「単なる営業先」ではなく、「利用者の生活を共に支えるパートナー」という位置づけで取り組むことが長期的な紹介増加につながります。訪問頻度より、訪問の質と信頼の積み重ねを重視してください。


まとめ:介護事業所の集客は「数字の見える化」から

見るべき数字 内容 改善効果
曜日別稼働率 曜日ごとの利用者数と定員の比率 空き枠を埋めるだけで売上が上がる
流入経路別の成約率 どこから来た利用者が最も成約するか 集客コストの最適配分ができる
月次離脱率 毎月何名が退所しているか 「穴の空いたバケツ」を防げる

介護事業所の集客がうまくいかない原因は、「やり方がわからない」のではなく、「数字を見ていない」ことがほとんどです。口コミに頼る前に、まず自事業所の3つの数字を把握してください。そこから、何にお金と時間をかけるべきかが見えてきます。


Q: 介護事業所の集客・経営改善を専門家に相談すべきタイミングは?

A: 「稼働率が80%を超えないまま3ヶ月以上続いている」と感じた時点が、動くべきタイミングです。

稼働率が低い状態が続くと、固定費が利益を食い続けます。早い段階で数字を整理し、集客と財務の両面から手を打つことで、90日で数字の見える化と施策の優先順位を確定し、手残り改善の土台を作ることは十分可能です。

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